令和2年6月定例月議会での一般質問
生活保護法における現状と課題について
かとう治
生活保護受給世帯数は増加が続いているとのことですが、受給世帯を担当するケースワーカーの配置人数についての推移とその配置状況は充足しているのか、お伺いします。
健康福祉部長
ケースワーカーの配置人数の推移につきましては、平成31年4月は54人、令和2年4月は52人となっております。また、充足の状況につきましては、国が定めている標準数はケースワーカー1人当たり80世帯となっておりますが、当市のケースワーカーが担当しております世帯数は平均約110世帯であり、令和2年4月1日現在で、約20人のケースワーカーが不足している状況でございます。
かとう治
ケースワーカーの仕事は、昨今の社会構造の変化の中で、経済的支援のみならず、複合的で複雑な生活課題を抱える受給者への様々な配慮なども求められています。増大する傾向にあるケースワーカーの負担に対し、適切なサポート体制が取られなければ、業務過多からくる疲弊がケースワーカーの意欲低下を生じさせてしまうことが懸念され、結果として、生活保護受給世帯への効果的な指導、援助ができず、ケースワークの停滞を招くことになります。
令和2年4月1日現在で20人のケースワーカーが不足している状況から、ケースワーカーの増員を早急に図るべきかと考えますが、今後の在り方について、お伺いします。
また、国基準の定員数を満たすためにケースワーカーを増員するには、人員に応じた執務室を確保する必要がありますが、現状として増員に応じた執務室を確保できる環境にあるのでしょうか。今年度は機構改革を通して、部の統合や新たな相談窓口を設置し、市民相談のワンストップ化により市民サービスを充実させたとしていますが、ケースワーカー増員も市民サービスとして重要な課題であると考えます。併せてお伺いいたします。
健康福祉部長
被保護世帯の現状に鑑みますと、任期付ケースワーカーの活用をはじめ、生活福祉担当における人員配置に努めてきたところでございます。しかしながら、受給世帯は増加傾向にございまして、ケースワーカーについては依然として不足している状況でございます。
そのため、これまでから専門的な知識や技術を有する年金調査員や健康管理支援員、就労支援員などをケースワーカーと別に配置するなど、生活保護行政の体制強化に努めているところでございます。引き続き、適正な人員配置に努めてまいります。
また、新しい執務室の確保につきましては困難ではございますが、今ある執務室の有効活用を図ってまいりたいと考えております。
かとう治
このたびの新型コロナウイルスによる景気悪化の影響は、幅広い業種に及んでおり、リーマンショック時よりも深刻になると言われています。生活保護の窓口での相談数も増えていると感じますが、今後急増することが懸念される生活保護世帯の自立に向けて、また、現状でケースワーカーの増員が難しい環境にある中で、市はどのように支援していくのかをお伺いします。
健康福祉部長
新型コロナウイルスの影響による生活保護の窓口相談件数は、令和2年4月末日時点で前年同月との比較では大きな変化はございませんが、平成20年のリーマンショック以降は申請件数が急増し、2年後にはおよそ75%増加しました。
不足しておりますケースワーカーにつきましては、必要数の確保や人材育成とともに、専門分野を担当する職員との連携を密にしたケースワークを行い、保護開始決定までの業務をより迅速かつ適切に実施し、被保護世帯の自立に向けての支援の強化を進めてまいります。
かとう治
最後に、要望させていただきます。
生活保護は、適用後に生活の立て直しと自立に向けた多面的な支援が求められているわけですが、その仕事を担うケースワーカーは大きく不足しており、急増する保護申請の事務手続に対応するだけで手いっぱいの状態です。また、今後は新型コロナウイルスによる景気悪化の影響で、相談者数や申請者数が急増するものと思われます。
今回の質問では、機構改革後のケースワーカーの現状についてお伺いさせていただきましたが、答弁を聞く限り、そもそもこの問題に本気で取り組もうという姿勢がないのではないかと率直に感じました。大阪府からもケースワーカーの充足を求められていますが、そもそも増員に応じた執務室の確保をいまだ図れていないこと自体が大きな問題だと考えています。
受給世帯への適切な支援をするために、また、職員の過重事務を軽減し、健康保持のためにも、ケースワーカーの増員が急務であると考え、早急に取り組んでいただきますよう強く要望いたします。
新型コロナウイルス感染症対策における芸術、文化の保全について
かとう治
新型コロナウイルス感染症の影響は、経済界、商業界にとどまらず、文化芸術の分野にも深刻な影響をもたらしています。本市をはじめ、国内各地において開催する予定だった文化芸術事業は中止や延期を余儀なくされる状況が続いており、フリーランスで活躍される芸術家の皆さんの活躍の場が失われ、廃業を検討されている芸術家の方もたくさんいらっしゃるとお聞きしております。
本市では、芸術家の支援策としてどのような取組をされているのか、お伺いします。
観光にぎわい部長
新型コロナウイルス感染症の拡大防止の措置により、活躍の場が失われている芸術家に対する本市の支援策といたしましては、枚方市アーティストバンクに登録している若手芸術家に参加を募り、撮影した音楽や舞踊などの実演映像をアート・スプラウトWEB版として、ユーチューブの市公式ページに配信する取組を行っているところです。
出演者からは、とてもありがたい取組で、先が見えない中、前向きな気持ちになれるといった感想をいただいております。
今後、登録者を増やし、美術工芸ジャンルのビジュアルアーツにも対象を広げるとともに、映像、音質を向上させるなど、本格実施を検討してまいります。
かとう治
活躍の場が失われている芸術家の支援として、アート・スプラウトWEB版を実施していることは大変意義があることだと思いますので、今後も配信を続けていただき、本格実施につなげていただければと思います。
しかし、活躍の場を失っているのは若手だけではありません。私の友人にも芸術家の方がいますが、新型コロナウイルス感染症の終えんが見えない中、文化芸術活動を続けていく希望を失いかけつつあるとともに、大変つらい思いもされておられます。
本市における文化芸術の発展は、市民をはじめ、芸術家にとっても大切なことであり、本市では来年9月に拠点施設となる総合文化芸術センターがオープンすることとなっています。このような状況の中、本市の文化芸術活動のさらなる充実に向けて、市は今後どのように取り組んでいかれるお考えなのか、お伺いいたします。
観光にぎわい部長
本市における文化芸術事業につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から中止または延期としておりましたが、今後は感染防止対策を取りながら順次再開していく方向で準備を進めており、市民待望の拠点施設である総合文化芸術センターのオープンにつなげてまいります。
また、これまで本市において育まれてきた文化芸術活動をさらに発展させる観点から、広範な世代の市民や芸術家の皆様の晴れの場をしっかりサポートする施設として運営し、鑑賞事業や創造発信事業、社会包摂事業などの新規事業に取り組んでまいります。
さらに、多彩な文化芸術分野はもとより、商工業、農業など産業分野のプレ事業についても数多く展開することで、文化芸術の発信と裾野を広げる取組を進め、にぎわいを創出してまいります。
かとう治
本市において文化芸術の裾野を広げ発展させていくことは、非常に重要なことであると認識しております。今まで育んできた文化芸術を保全、そして発展させていくための施設として、総合文化芸術センターが来年秋にオープンし、今まで本市の文化芸術の一翼を担っていた枚方市文化国際財団は解散する予定ですが、それを発展、強化させていくセンターの指定管理者も先日の議会で指定されました。
枚方市文化国際財団の基本財産については、解散後、市が受け入れ、今後取扱いを決めていくことになると考えております。この財産は、本市の文化芸術や国際交流を担ってきた財団の財産であることも踏まえ、受入れ後は文化芸術事業の費用に投資し、市民をはじめ、芸術家の皆さんにも文化芸術を通して還元することで、本市の文化芸術の発展に役立てていただくことを要望しておきます。
また、先日、国の第2次補正予算も決定いたしました。その点についても十分に精査を行い、文化芸術の分野に反映させていただきますよう、重ねて要望いたします。
商業系補助金における新型コロナウイルス感染症対策について
かとう治
新型コロナウイルス感染症が拡大したことから、飲食店や建設業をはじめ様々な業種に大きな影響を与える中、これからの生活スタイルに順応するため、新たな商業スタイルに取り組む事業者も出てきています。
これまで、まちのにぎわいや活性化につなげようと精力的に取り組まれてきた歴史ある商店街のイベントなども今後どのように行っていくか、非常に頭を悩ませている方々もおられます。
そこで、今年度における商店街の活性化補助金の利用状況と、この間、市において独自に打ち出された事業者支援策の状況をお伺いします。
観光にぎわい部長
初めに、商店街活性化補助金の利用状況についてですが、今年度におきましては2件の申請があり、内容といたしましては、新型コロナウイルスの影響に対処するため、新たな商店街のPR方法に取り組まれるものとなっております。
次に、市独自の事業者支援策の状況についてですが、飲食店を支援するデリバリー支援事業については制度が適用された店舗が93件、うち新規参加店舗は14件となっており、また、事業継続固定費支援金事業につきましては、約90件の申請を受けているという状況です。
どちらも、今後、増加傾向にあると見込んでおります。
かとう治
新たな支援策については、対象事業者が申請の機会を逃すことのないよう、様々な手段を活用し、何度も周知に努めていただきたいと思います。
また、商店街活性化補助金についてですが、これから新たな商業スタイルを取り入れた新しい取組を実施される商店街が出てくると考えられます。そうした商店街に対して、しっかり支援ができるような制度にしていただきたいと思いますが、コロナ対策を踏まえ、補助金に対する今後の考えをお伺いします。
観光にぎわい部長
商店街活性化補助金につきましては、これまでも商業団体等との意見交換を踏まえて、支援内容に反映するなど改変を行ってまいりました。
引き続き、ニーズの把握に努め、特にコロナ対策については柔軟に対応できる内容とするなど、よりよい補助制度への変更について検討を進めてまいります。
かとう治
要望させていただきます。
商店街をはじめ商業者の皆さんは、今後の対策を必死に考えておられます。今回独自の支援策としてデリバリー支援事業を実施されましたが、既に商店街と地域の団体が連携して飲食店を支援するような活動がメディアでもしばしば取り上げられています。今こそ、これまで以上にきめ細やかに状況をヒアリングするなど、商店街のニーズや現状把握をしていただきたいと思います。その上で、既存の補助金制度に対するメニューの追加や改変などをすぐにでも実行していただきたいところですし、ウィズコロナに向けた新たな補助金制度についても検討していただくよう強く要望しておきます。
新型コロナウイルス感染症影響下での学校の環境について
夏季休業日短縮での子どもの通学について
かとう治
新型コロナウイルス感染症拡大のため、国の緊急事態宣言を受け、本市におきましても本年3月2日から5月31日まで、全ての市立小・中学校を臨時休校としておりましたが、6月15日からは学校の本格的な再開が行われたところです。
それでは、学校の本格的な再開後、現在の小学校における通学の状況はどのようなものか、お伺いします。
教育委員会事務局総合教育部長
小学校においては、分散登校の期間中において、教員が付き添い地区ごとに集団下校する中で、新1年生に対して通学指導を行いました。学校の再開後、現在も、安全確保のため地区ごとに集団で下校するよう指導しております。
かとう治
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、学校を長期間休業したことによる授業時間等の確保を図るため、夏休み期間が大幅に短縮されることになりました。子どもたちにとっては、1年で最も暑い時期である7月下旬から8月上旬、また、お盆明けすぐに登下校することになります。通学途上の熱中症対策をどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
教育委員会事務局総合教育部長
通常、夏休み期間中である7月下旬から8月上旬等、最も暑い時期に登下校することになるため、熱中症対策には熱中症予防対策温湿度計等を活用して、万全を期す必要がございます。
教育委員会といたしましては、帽子の着用や水筒の持参等について、学校を通じて保護者へのお願いを徹底したいと考えております。
かとう治
要望とさせていただきます。
真夏の猛暑の中で、しかも最も暑い時間帯に子どもたちだけで登下校することになり、熱中症を防止するためには、先生方はもとより、保護者や地域の見守り隊の方々など大人のサポートが何より大切になると考えております。教育委員会から保護者や校区コミュニティ協議会等にしっかりと協力を要請していただくよう要望とさせていただきます。
また、下校時には、例えば、学校に配備されている熱中症予防対策温湿度計や熱中症指数モニター等を活用して、場合によっては早めに下校させる、あるいは、指数が安全な領域になるまで学校で待機させ、集団下校させるなどの工夫についても検討していただくよう、重ねて要望させていただきます。
留守家庭児童会室の現状について
かとう治
新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために行われた学校の一斉臨時休業に伴い、保護者の労働等により自宅において1人で過ごすことが困難な児童、生徒を対象とした緊急的な居場所や、留守家庭児童会室と臨時的な児童の居場所を共同で実施する児童生徒の居場所など、本市の子どもたちのため、留守家庭児童会室の職員と先生方が一体となり、精いっぱい取り組んでこられました。この場をお借りして、感謝申し上げます。
さて、我が会派の田口議員は、3月の代表質問において、政令市に次ぐ規模である本市の留守家庭児童会室事業について、現場目線で整理していくことが大事であると指摘いたしました。留守家庭児童会室は、通常時であっても非常に厳しい運営である中、この間さらに厳しい運営を強いられ、先生方の御協力を得られたことにより、今回のコロナ危機を乗り越えられたのではないかと考えています。
今後、新型コロナウイルス感染症については、第2波、第3波も想定されますが、学校の通常の教育活動が実施されていく中、新たな職員確保など、留守家庭児童会室事業の体制強化に早急に取り組む必要があると考えますが、見解をお伺いします。
教育委員会事務局学校教育部長
留守家庭児童会室の利用ニーズが拡大し、運営における職員確保が課題となる中、『広報ひらかた』、市ホームページのほか、広告、民間求人サイトの活用など、この間取り組んでまいりました手法に加えまして、退職教員や地域人材、大学生等によるやる気ングリーダーの活用など、留守家庭児童会室の職員確保に向けた取組を強化しているところでございます。
かとう治
留守家庭児童会室の職員確保に当たり、新たにやる気ングリーダーの活用などに取り組まれていくとのことですが、現状、留守家庭児童会室の運営を担う職員は確保できているのか、お伺いいたします。
教育委員会事務局学校教育部長
留守家庭児童会室の現状を踏まえ、年間を通じて採用を実施するなど人材確保に努めておりますが、放課後児童支援員及び放課後児童准支援員につきましては確保が難しい状況であり、会計年度任用職員である児童会室サポート員を配置することで、適正な運営に取り組んでおります。
かとう治
臨時休業中に留守家庭児童会室が開室する場合、学校施設の活用や教員を含む人的体制確保に係る国からの通知を踏まえ、例えば、学級を担任する先生方は子どもたちへの連絡、家庭訪問など通常では行わない業務がある中、教育活動の一環として、留守家庭児童会室の運営にも携わってくださったとお伺いしております。
一方で、この期間の先生方の勤務について、余裕があるのではないかというような意見も耳にしており、非常に残念にも思っております。感染リスクがある中、児童の保育に当たっていただいた留守家庭児童会室の職員をはじめ、先生方に対して、このたびの有事の対応を当たり前と思わず、感謝する姿勢も大事であると考えております。
本年3月に策定された児童の放課後を豊かにする基本計画では、留守家庭児童会室の入室児童数は今後も増加が見込まれており、現場の職員が不足する中、不足対応といった量の部分も大変重要な課題ですが、保育の観点を踏まえた質の部分においても多くの課題を抱えているのではないかと考えております。
市民の皆様が安心して子どもを預けることができる環境を構築することは、枚方市に住みたい、住み続けたいと思っていただける重要な要素であり、そう思っていただける魅力となり得る留守家庭児童会室の体制強化に積極的に取り組むようお願いしておきます。
※市議会での発言内容の要旨を項目ごとに整理して記載していますので、発言の全文については 枚方市議会の会議録 をご覧ください。